L-シトルリン(L-Citrulline)

最終更新:2026年9月23日 / 広告について

L-シトルリンは、スイカに多く含まれるアミノ酸の一種です。「血流」「巡り」をうたうサプリメントの定番成分で、よく一緒に配合されるL-アルギニンとあわせて、男性の活力サプリにも多く使われています。

ここまで紹介してきた素材が、主に「性欲」や「体力」との関わりで語られてきたのに対し、シトルリンは勃起に直接関わる「血管を広げる仕組み」に働くと考えられている点が特徴です。仕組みの説明は筋が通っていますが、それを確かめた人での研究はまだ小規模なものにとどまります。

このページの要点

  • 軽度の勃起機能の低下がある男性24人の試験で、改善を示す結果が報告されています。ただし小規模で、試験の方法にも弱点があります。
  • シトルリンが体内で変わる先のアルギニンについては、複数の試験をまとめた分析で、軽度〜中等度の勃起機能の低下への効果が報告されています。ただし、他の成分との配合製品を含んだ分析です。
  • 心臓の病気がある方、硝酸薬や血圧の薬、勃起不全の治療薬を使っている方は、使う前に医師に相談してください。

研究で分かっていることの早見表

根拠の強さは、当サイトの編集方針で定めた4段階で示しています。

テーマ根拠の強さひとことで
軽度の勃起機能の低下(シトルリン)限定的24人の小規模な試験で改善の報告。治療薬よりは効果が弱いと考えられている
軽度〜中等度の勃起機能の低下(アルギニン)限定的10件の試験の分析で改善の報告。ただし配合製品を含み、試験ごとの条件もばらばら
性欲(その気)不十分アルギニンの分析では性欲の項目は変わらなかった。血流の仕組みとも別の話
運動のパフォーマンス不十分研究によって結果が分かれている

シトルリンとは

シトルリンを含むウリ科の食品のイラスト。スイカ、キュウリ、ゴーヤ、メロン
シトルリンを含むウリ科の食品

シトルリンは、1930年に日本の研究者がスイカの果汁から見つけたアミノ酸で、スイカの学名 Citrullus にちなんで名づけられました。スイカのほか、メロン、キュウリ、ゴーヤ、冬瓜などウリ科の植物に比較的多く含まれています。

アミノ酸といっても、たんぱく質の材料になるものではなく、体内では肝臓などで行われる代謝の回路の一部として働いています。人の体でも作られるため、必須アミノ酸ではありません。

日本では長らく医薬品の成分として扱われていましたが、2007年の制度改正で、医薬品のような効能をうたわない限り食品として使えるようになり、それ以降サプリメントや飲料に使われるようになりました。

「血管を広げる」仕組み

勃起は、陰茎の血管がゆるんで血液が流れ込むことで起こります。このとき血管をゆるめる合図として働くのが、「一酸化窒素(NO)」という物質です。体の中では、アミノ酸のアルギニンを材料にして一酸化窒素が作られます。

それならアルギニンを飲めばよいと考えられますが、口から摂ったアルギニンは、全身に届く前に腸や肝臓でかなりの量が分解されてしまいます。一方、シトルリンはこの分解を受けにくく、吸収されたあと腎臓などでアルギニンに作り替えられます。そのため、シトルリンを摂ったほうが、アルギニンそのものを摂るより血液中のアルギニンを効率よく増やせることが、健康な人を対象にした研究で示されています。

なお、勃起不全の治療薬(PDE5阻害薬)も、この一酸化窒素から始まる仕組みの後半に働く薬です。シトルリンは「材料を増やす」、治療薬は「合図を長持ちさせる」と考えると、両者の違いがイメージしやすいでしょう。

研究で分かっていること

シトルリンと勃起機能

2011年にイタリアで行われた試験では、軽度の勃起機能の低下がある平均56歳の男性24人に、1か月目は偽薬(プラセボ)を、2か月目はシトルリンを1日1.5g飲んでもらいました。勃起の硬さを4段階で評価したところ、「軽度の低下」から「正常」に改善した人は、偽薬の期間では24人中2人(8%)、シトルリンの期間では24人中12人(50%)でした。副作用は報告されていません。

励みになる結果ですが、次のような弱点があります。

  • 参加者が24人と少ない。
  • 参加者だけが中身を知らされない「単盲検」で、医師側は知っていた。
  • 全員が「偽薬→シトルリン」の同じ順番で飲んでおり、時間の経過や慣れの影響と区別しにくい。

研究者自身も、効果は治療薬より弱いと述べています。より大きく、方法のしっかりした試験での確認が待たれる段階です。

アルギニンと勃起機能

シトルリンの「変わり先」であるアルギニンについては、研究がもう少し多くあります。2019年の分析では、軽度〜中等度の勃起機能の低下がある患者を対象にした10件の比較試験(計540人)がまとめられ、1日1.5〜5gのアルギニンで、偽薬などと比べて改善が見られたと報告されています。一方、性欲の項目には変化がありませんでした。

ただし、この分析にはアルギニン単独だけでなく、他の成分と組み合わせた製品の試験も含まれています。また、副作用の発生率はアルギニンのグループで8.3%、偽薬のグループで2.3%と、アルギニンのほうが高くなっていました(いずれも重いものではありません)。

性欲・活力

シトルリンやアルギニンは、血管の働きに関わる成分です。「その気が起きない」という性欲の問題や、全身の疲れやすさに効くことを示す研究は見当たりません。悩みが「性欲」なのか「勃起」なのかで、検討すべき素材は変わってきます。

まだ分かっていないこと

  • シトルリンの効果を、大規模で方法のしっかりした試験で確かめた結果
  • 数か月を超えて飲み続けたときの有効性と安全性
  • 最適な量と、シトルリンとアルギニンを組み合わせる意味
  • 日本人を対象にした質の高い研究

摂り方の目安

基本は、製品に表示された1日の目安量を守ってください。参考までに、上で紹介した試験ではシトルリンを1日1.5g、アルギニンの試験では1日1.5〜5gが使われています。国内の製品では、これより少ない量を1日の目安としているものも多くあります。

食べ物では、スイカは果肉より皮に近い白い部分に多く含まれます。ただし、研究で使われた量を食事だけで摂るのは現実的ではありません。

安全性と、注意が必要な人

シトルリンは、一般的な量であれば大きな副作用は報告されていません。おなかがゆるくなる、胃の不快感などが起きることがあります。

使う前に医師に相談してほしい方

  • 硝酸薬(ニトログリセリンなど)を使っている方、勃起不全の治療薬を使っている方:どれも血管を広げる方向に働くため、重なると血圧が下がりすぎるおそれが理論上考えられます。
  • 血圧の薬を飲んでいる方、血圧が低い方
  • 心筋梗塞を起こしたことがある方:心筋梗塞後の患者にアルギニンを飲んでもらった海外の試験で、アルギニンのグループで死亡が多く、試験が早期に中止されたことがあります。シトルリンで同様の報告はありませんが、体内でアルギニンに変わる成分であることから、主治医への確認をおすすめします。
  • 腎臓や肝臓の病気がある方、妊娠中・授乳中の方

品質の選び方

  • 1日あたりの量:シトルリン(とアルギニン)が1日あたり何mg入っているかが明記されているか。配合成分が多い製品ほど、1つあたりの量が少なくなりがちです。
  • 配合されている他の成分:海外製の「精力系」サプリでは、アルギニンやシトルリンに、日本では医薬品成分として扱われるヨヒンベなどが組み合わされていることがあります。成分表示をよく確認してください。
  • 即効性をうたう製品:「飲んですぐ効く」と感じさせる製品には、勃起不全の治療薬の成分がひそかに混ぜられていた事例があります。詳しくはマカのページの注意喚起をご覧ください。
  • 販売者の情報:国内の販売者名・所在地・問い合わせ先がはっきりしているか。
  • 表現:「EDが改善する」「勃起力が回復する」など、病気や体の機能への効果をうたう表現は、食品では認められていません。

製品選び全般のチェックポイントは品質の見分け方、表示のルールや医薬品成分の混入については「精力剤」「強壮剤」の種類と区分をご覧ください。

こんなときは医療機関へ

  • 勃起しにくい、維持できない状態が続いている。勃起の問題は、高血圧・糖尿病・脂質異常症など血管の病気の早いサインであることがあります。医療機関では、効果が確かめられている治療薬を、持病や飲んでいる薬に合わせて処方してもらえます。泌尿器科のほか、かかりつけ医にも相談できます。
  • 胸の痛みや息切れがある、または心臓の病気で治療中で、性行為に不安がある。性行為は体に一定の負担がかかるため、主治医に相談してください。

参考文献

  1. Cormio L, De Siati M, Lorusso F, et al. Oral L-citrulline supplementation improves erection hardness in men with mild erectile dysfunction. Urology. 2011;77(1):119-122.
  2. Rhim HC, Kim MS, Park YJ, et al. The Potential Role of Arginine Supplements on Erectile Dysfunction: A Systemic Review and Meta-Analysis. J Sex Med. 2019;16(2):223-234.
  3. Schwedhelm E, Maas R, Freese R, et al. Pharmacokinetic and pharmacodynamic properties of oral L-citrulline and L-arginine: impact on nitric oxide metabolism. Br J Clin Pharmacol. 2008;65(1):51-59.
  4. Schulman SP, Becker LC, Kass DA, et al. L-arginine therapy in acute myocardial infarction: the Vascular Interaction With Age in Myocardial Infarction (VINTAGE MI) randomized clinical trial. JAMA. 2006;295(1):58-64.
  5. 医薬基盤・健康・栄養研究所「『健康食品』の安全性・有効性情報」. https://hfnet.nibn.go.jp/
  6. 厚生労働省「統合医療」情報発信サイト(eJIM). https://www.ejim.mhlw.go.jp/

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